風の色

ペット納骨 / 犬(パピヨン) : 岩手県奥州市
2022.04.05

【過去事例】ペット供養依頼
退職後から飼い始めました
14年ともに暮らし、晩年は闘病生活でした
自分たちの子供のように感じていたそうです
70代女性からの依頼でした
ペット納骨 / 犬(パピヨン) : 岩手県奥州市

風の色(三十一)
2022.04.03

風の色(三十一)
法華経に「変化の人を遣わして之がために衛護となさん」(神佛が、かりに人の姿となって現れ、法華経を信じて行ずる者を護り育ててくれる)とある。
私にとってこの変化の人を初めて意識したのは、少年の頃だった。
師父の厳格な躾は、私の逃げ場を閉ざした。
耐えきれない思いで自死に及んだときに、私の腕を抑えて必死に留まらせた方がいた。
その方は、私にとって普段から近づきにくい近所のY婦人だった。
その日の夜がとても長かったことを今でも鮮明に記憶している。
興奮がさめず頭の中は何もかもが一杯で全身が振るえていた。
この世に何ゆえ生を享けたのか、自分のおかれた宿命(さだめ)に押し潰されそうなこの身を思えば思うほど悔しさで枕を濡らした。
しかし、同時に何故にあの方が私の行為を止めてくれたのか、そのことに人智を超えた不思議なはからいを感じていた。
数日後、いつもの朝勤の折だった。
途中でお経を間違えた(よそごとを考えて)ため、師父の鉄槌がすかさず飛んできた。
その時、“はっと”今お経を読んでいる自分に気がついたのである。
あのY婦人が私を止めていなかったらこの時がないと。
不思議なまでに素直にY婦人への感謝の気持で一杯だった。
この時は、変化の人などという経文の言葉すら知るはずもなかったが、そのはからいの源をおぼろげながら意識した。
佛の心を幼いなりに知り得たものと思う。
Y婦人の二十七回忌が今年営まれるが、命の報恩行として霊位に向い感謝の法味を言上する積りでいる。
その後も、数多くの変化の人に護られてきた。
知らずとも身近におわす人なれど佛は変化と為し給う