風の色

祈りと信仰(六)
2022.12.18

祈りと信仰(六)
少々固い表現になりまして恐縮ですが、法華経の世界観で申しますと、本来、この宇宙の森羅万象すべては、神(ご本佛)の恵である大慈大悲の御心が備わっていないものはないとする考えであります。
大慈悲の御心とはすべてを生かすはたらきと申せましょう。
ですから、この世に存在するもの、また、この世に起こり起こるところのあらゆる現象も、調和のとれた至福をもたらすものであります。
私どもの生活の中で身近な例で申しますと、それは心もほどほどに満ち、物にもとかく不自由なく暮らせる日々を送れる、そのことがご本佛のはたらきでありまして、そこに有り難いと感じることを感応と申しますが、このことを理解していくためにもう少し先の方へ進んで参ります。
その有り難いと感じる自身の胸中にご本佛様がお棲みになっているとしたらどうでしょう。
自分自身が感じたと思っていたものは、実は、ご本佛様が自身と一緒に感得されていた事になります。
目には見えない姿でありますが、間違い無くお棲みになっている証拠は真に有り難いと感じるからであります。
ここに、日蓮大聖人が一切経の中から法華経を選びとられた理由がありまして、そのご法門が『凡佛一如の歓喜をあらわす』という聖句であります。
このことから、私どもの日常の信仰や信心と呼ばれる、その意(こころ)に自身の振る舞いが、常にご本佛のはたらきであり、ご本佛との感応なしでは起こりえないことを肝に銘じて精進したいものと思います