風の色
- 祈りと信仰(十五)
- 2023.02.26
祈りと信仰(十五)
誰でもが、一生の生活で共通して欲している理想といえば、一つには「死にたくない、長く生きたい」二つには「楽をして苦労はしたくない」三つには「自由で何にも束縛されたくない」四つには「平和で争いのない国土に住みたい」というまさに浄土(菩薩集団の国土)そのものであるが、それは「求めて得ざる苦」即ち不可能に近いものである。
一方、我が身の心を覗いてみると「一向に生き甲斐が見つからない」し、「安楽どころか苦労ばかりで行く末を案じ」また「世の中は窮屈で思うどおりにいかない」ばかりか「態度でごまかしても本音は他人の悪口や妬みや争いごとで一杯」というまさに穢土そのものなのである。
しかし、常に理想の境地を心に抱いている事実には変わりないが、理想と現実の差が余りにも甚だしい。
そこを埋めるために菩薩行の実践がある。
釈尊のご真意である佛教というものは、一般に凡夫が修行等して佛になる道を説いたというが、むしろ佛の姿から真の人間(菩薩)たらしめる道を説いたと云うべきである。