風の色
- 久遠のみち(六)
- 2022.09.11
久遠のみち(六)
長く続いているこの伝道はがきの中で随所に法華経、法華経と何度も出てくるが、一体、法華経とはどんな教えなのか?
また法華経を人類救済の経典とされた日蓮聖人との関係について簡要に言って貰いたいとの質問を頂いている。
しかし、なかなか要にしてお答えできないのが残念であるが、強いて言えば次のような説明になると思う。
法華経の特色として、一つ目は、誰でもが佛に成ることができると言うことであり、二つ目は、誰でもが永遠に滅することがない命である本佛の種を宿していると言うことではないかと思っている。
この両者は、表裏一体をなしているもので、万人の心の中の奥深いところにある本佛の願い(釈尊と同じ心根で生きよとの呼びかけ)そのものであり、人類愛と言ってよい。
このような教えを現実に引き映して、誰もが着の身着のままで成佛できる実践宗教をお立てになったのが宗祖日蓮聖人である。
宗祖の誓願は、お題目を口・意・身で唱えると言う祈り(易行)を通じて、我々凡夫大衆が佛の位にまで高められることを不屈の信仰によって実証されたものである。
所で、どんな素晴らしい教えでも、現実の人間生活に活かされなければ薬の効能書きと同じことになる。
要するに、観念だけでは凡夫大衆の救いにはならない。
だから現に救われたという安心立命が実感された時に初めてその教えが現実のものになっていくのである。
宗祖は、ここの急所をお題目の神秘に結ばれたのである。
宗祖の教えの総てをご妙判と称しているが、それは法華経を生涯通じて経文どおりに体得された結果お示しになった御書で、それ故そのご生涯を抜きにしてはご拝読できないものと思っている。