風の色

祈りと信仰(二十八)
2023.05.28

祈りと信仰(二十八)
今朝も、そう遠くない車道から元気で威勢のよい声が聞こえてきた。
スタンドにガソリンを給油する客に向かっての挨拶である。
また、普段でも、給油を終えて帰っていく車(人間?)に帽子をとり、数秒間腰を深々と曲げている姿を見ることがある。
しかし、彼等が果たしてこの大切なサービスの心を心としてどれだけ日常生活に活かしているだろうかと思う時がある。
ひと昔前になるが、ある大手のデパートに勤務したM子さんの体験談。
彼女の仕事は、エスカレーターの前に立って一日中頭を深々と押し下げ、かつ丁寧に、「いらっしゃいませ」「いらっしゃいませ」々々々・・・を繰り返すだけである。
所が、一ヶ月後、突然欠勤してしまった。
理由は、自分が馬鹿らしくなったとのこと。
しかし、心配した先輩の一言で復帰出来た。
その一言とは「自分も神様だが、来客も神様と思い、常に謙虚な気持でやってみなさい」という。
今では、ベテランの教育係として、人と接する大切な原点を「謙虚な心」をモットーに活躍中である。
虚心坦懐という言葉がある。
辞書には愛憎の念がなく公平な態度とあるが
まさに謙虚な心に通じている。
更に、その心のはからいをたずねれば、尊厳なる人間の魂(佛性)に向かって呼び掛けているものではないかと思う。
とくと日蓮聖人の御詠と伝えられる次の歌をかみしめたいものである。
「皆人を渡しはてんとせしほどに、わが身はもとの真間の継橋」