風の色

祈りと信仰(三十二)
2023.06.25

『佛法の中に法華経ばかりこそ正 直の御 経にておわしませ。』
日蓮聖人御遺文(法門可被申様之事)
ところで、この中の「正直」という言葉は、現在、私どもが耳にするのとは少々意味合いが違っています。
例えば、当時のお話ですが、子供が飢えのために苦しんでいる母のためにやむを得ず隣の畑から瓜を盗んでしまったことで村中が騒ぎだしたのです。
でもその父親は、自分の子供が犯した罪とは知りながら代官所へ訴えようとしませんでした。
今の世では当然ながらこのような父親の態度は決して「正直」とは申せません。
むしろ、罪を隠匿した為に逆に苦しみ、やるせない気持を持ち続けることになるのです。
しかし、子を思う親の心は「正直」いって、善悪の分別を超えた慈悲深さを感じさせられてなりません。
子の姿が我々衆生であり、そのみ親が釈尊なのです。
常にこの佛様のご慈悲に照らされている私どもがこれを信ずる(唱題する)意外に佛様に会えようがないのです。