風の色

久遠のみち(四)
2022.08.28

久遠のみち(四)
モロトモニアハレトヲボセミ佛ヨキミヨリホカニシル人モナシ
この御歌は、鎌倉時代に華厳宗を復興させた―夢みる聖者―として有名な明恵上人・高弁のものである。
私が二十歳過ぎの学生時代のこと、時々京都や奈良へ行く機会に恵まれ、たまたま洛西にある高山寺に詣でた折りに明恵上人の少年時代の伝記を聞かされた。
空を飛ぶ鳥を見ては両親の生まれ変わりではないかと思ったり、道に寝そべっている小犬をまたいでしまったので、あわてて戻って合掌した事など、余りにも純真な生き方に言葉に表せないほど感動したことがある。
自己の修行を佛の修行に擬し、両者一如にして徹底すればするほどいよいよ「私は釈尊の愛子である」との自覚が深まり、それを総て自らの宗教体験の起点とする生き方である。
今なおこの明恵上人の清貧で高潔な佛道修行の姿勢というか存在するあらゆるものに対する研ぎ澄まされた豊かな感性に惹かれている。
ところで、私自身磨くべき感性が乏しいのは止む得ないが、一般に宗教・芸術しかり、感性の鋭い人には目に見えないものが見えるという。
本佛(宇宙真理の根源)の真相も同じ事である。
釈尊はこの真相そのものを指して「妙法蓮華経」の五字であり久遠の生命体ともお示しになった。
しかしこれは誰の目にも見えるものではない。
日蓮大聖人は、この「妙法蓮華経」の五字に南無(帰依)する事、つまり南無妙法蓮華経と唱えることによってのみ普段には見えない真相が現実生活の上に具体的な体験(御守護)となって顕れること間違いなしと断言されている。
今もおのが心中の佛に向かい「ミ佛ヨキミヨリホカニシル人モナシ」との感性を育てるべく昼夜精進の日々である。