風の色

久遠のみち(十二)
2022.10.30

久遠のみち(十二)
お盆のお棚経に出向いた時に交わした対話の一部を紹介します。
「長い間人間ばかり見てきたので、定年退職後は主に庭に生い茂る草木などに目を向けている」
・何故、人間から植物等自然との対話へ向かわれたのですか。 
「人間と違って素直に自然環境に順応しながら精一杯花を咲かせたり木の実を結ぶ在りように何故か心が奪われるから」
・それは、ある意味で今の時代閉塞や人間の在りようを変える為には、人間同士の対話からはあまり期待が出来ないとも言えますか。
「そうとも言い切れないが、同じ大自然に生かされている生命でありながら、かくも違うものかと考えさせられる」
・人間や動物も元々は大自然の産物とすれば、そこには根源的には共通の生命意思が在って当然とも言えますが……。
「その辺の所を佛教、なかんずく法華経との接点といえば何ですか」
・森羅万象悉く佛性ありとすることからすれば、もとより皆同じ生命を生き続けていると言えます。
あらゆる生命に共通する意思の源(久遠)は所詮、慈悲心(愛)ですから。
「宗教の原点みたいなものでしょうか………」
・今やすっかり見失いがちなそれを人間同士の対話からは得られないものを身近にある草木と向かい合うことによって智慧を磨かれておりますこと、実に尊いことと存じます。
「この辺が判ると、人間にとって、もとより孤独という事はあり得ない事になりますね」
極めて当たり前の事ですが何かを感じ取って頂けたら幸いです。