風の色

久遠のみち(七)
2022.09.18

久遠のみち(七)
残暑お見舞い申し上げます。
なんと前回から久しく二年余りご無沙汰してしまった。
この間、多くの方より「ひそかに楽しみにしていたのに」「そんなに忙しいのですか?」等々、
伝道ハガキに寄せる方々の真面目な思いを背に受けながら「何とかしなければ」と、反省しつつ今夏を迎えた。
お檀家さんが百軒足らずなのに何故そんなに忙しいのかと尋ねられるが、お寺と聞けば葬式と法事だけと考えている人にとってはかなり理解しがたいと思う。
確かに退職後、霊断師会の本部役職に就いてからというもの会の仕事や全国各地への出向が多く自坊を空ける事がしばしばであった。
しかし、この伝道ハガキの空白期は私にとっては全く無益なものではなく寧ろ「久遠のみち」に繋がるものを温めていたといってよい。
近頃、天地自然が我々人間社会に対し手を緩めることなく襲いかかってる。
その人間社会も、いとも簡単に人命を奪ったり、親子の絆も切れて悲しい出来事がおこり、果てはエセ宗教に翻弄されて自己を失っていく若者たち、大量消費時代における食品管理の落とし穴に泣く惨事等々、我々はどの道逃れることが出来ない時代に生きている。
実のところ、こうした現象は質の違いこそすれ太古の昔からあったものだ。
今や、科学技術文明不滅論の社会にドップリと漬かってしまった我々は、一時の便利や安楽に満足するあまり、事の真相を覚知することに麻痺してしまったと言える。
本当の事を言うと、誰の心(遺伝情報)にも往古より自然の恵みを承けて共存してきた事を忘れていない筈である。
この辺から久遠のみちの原点が見えてくるような気がする